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2013年4月9日火曜日

インフラエンジニアのキャリアとクラウドについて

もう注目されるようになって久しいクラウドについて、思うところを書いておきます。

LinuxなりMySQLなりといったインフラ技術のスペシャリストの人が、GoogleなりFacebookなりといったサービス事業者で働くことは珍しくありません。これはそうしたサービス事業者にとって、インフラ技術のスペシャリストがある程度必要だということでもあります。ではこれからLinuxなりMySQLなりのスペシャリストになりたいという人(新卒/中途問わず)はどういう会社を目指すのが良いのでしょうか。私は本家ベンダー(RedHatなりOracleなり)や大手サービス事業者(FacebookなりDeNAなり)が良いと思っていますが、一点「クラウド上で主力サービスを展開している事業者」はやめた方が良いと考えています。

なぜなら、インフラ技術を語る上で欠かせないハードウェアとネットワークが、クラウド上ではブラックボックスになるからです。これらはパフォーマンスチューニングにしてもトラブルシューティングにしても極めて重要なスキル要素で、それらをブラックボックスにしたままではインフラ技術者としての成長は早々と止まってしまいます。ブラックボックスのままで良いと考えているなら、そもそもインフラ技術者を目指さない方が良いと思います。

またHerokuやAmazon RDSのような便利なサービスも増えているのですが、こうした「SaaS型のサービスを活用しています」と嬉々として宣伝している会社も、インフラ技術のスペシャリストを目指す上ではふさわしい所ではありません。Webサーバなり、MySQLなり、Hadoopなりといった中核のソフトウェアを自分たちでは運用しきれませんでしたと認めているに等しいからです。上層部がそうした技術のスペシャリストに大きな価値を見出していないということでもあります。

もちろん、サーバ運用費や人材育成などのコスト面から、こうした選択をした方がビジネス的に良いケースが少なくないことは十分承知しています。それでも、インフラ技術のスペシャリストを目指すのであれば、自分たちでなんとか要素技術を活用しようと努力している所を選んでほしいと思います。もちろん、OracleやClouderaなりといったベンダーからコンサルを受けるなりといった形でも良いです。エンジニアとしての成長の余地が大きいと思うし、会社から期待される度合いも高いと思います。

これからクラウドがさらに台頭していくのは間違い無いですが、クラウドのスペシャリストとは現在は事実上AWSスペシャリストであるわけです。それを目指すならAmazonに行くのが一番手っ取り早いです。Amazonで働いたことはありませんが、出しているサービス(RDSなりRedshiftなり)を見る限りではインフラエンジニアにとって非常に魅力的な環境だと思います。そして自前でサービスを運用している事業者でハード/ソフト面の両方でインフラ技術を磨いていれば、おのずとそのチャンスは訪れると思います。